こんばんは。

下の写真は建設業界の雑誌です。
業界の雑誌なのであまり本屋に置いていないですが、大きな本屋に行くとたまに見かけることがあります。

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この通称、物価本は、舗装からコンクリート打設…ありとあらゆる建設工事の市場単価が調査されて掲載されています。

規格化された単価からメーカーオリジナル商品の単価(材料費、工事費)も一部掲載されています。
剪定・植栽といった単価も出ていたかと思います。

「積算」とよく耳にすると思いますが、例えば舗装工事で言うと、
① 路盤(アスファルトの下の砕石みたいなもの)
② アスファルト舗装
③ 建設残土処分費
・・・

こういったものを数量(m2、m3)×単価等で積上げて総工事費を積算しますが、この単価が掲載されている本です。

この単価は諸経費等は含んでいないため、それは別途計算する必要がありますが・・・。でも参考になるかと思います。


本題に入ります。


【鉄筋コンクリート】

マンションでもビルでも大型構造物はほとんどがコンクリートです。
コンクリートは圧縮力がとても強いですが、引っ張り力が弱いため、引っ張り力の強い鉄筋を入れて、圧縮&引張の両方の長所をいかした素材です。
エジソン?の発明だったかと。

以下、コンクリートと略します。


【鉄筋コンクリートの劣化】

阪神淡路大震災では、都市高速の橋脚が倒壊するという衝撃的な光景がありましたが、上部が支えきれずにせん断破壊したと言われています。
重量に耐えきれず座屈したり、橋脚に対して斜めにせん断しています。
直下型地震であり0.5Gもの縦揺れでしたので、これは本題のコンクリートの維持・補修の範囲外なので興味のある方はぐぐってみてください。

コンクリートの劣化は主に2つあります。
① クラック(ひび割れ)からの水の浸透による鉄筋の錆化
② コンクリートの中性化

耐震補強工事の調査では、地震の揺れに対して強度は保たれているか・・・といった構造計算はもちろんしますが、他にも、上記2点は目視調査やコア抜き、超音波による鉄筋の被りの深さを調べています。


【目視調査】

クラックの状況、発生位置、原因等を調査します。
クラックでも深刻なのは、鉄筋が錆びて膨張し、その箇所が膨らんでコンクリートも膨らみ、見た目にも大きく損傷している箇所です。爆裂といいます。


【コア抜き】

コンクリートに筒状のコアを採取し、本来アルカリ性であるコンクリートが、どれくらい雨(酸性雨)によりもろくなっているか調査します。


【超音波検査】

鉄筋が図面通りの深さにあるか確認します。


【コンクリートの補修】

こういった検査により、施工方法や数量(m)、施工方法等をコンサルタント会社等が設計していきます。

深くないクラックの場合は防水材を塗る程度のこともありますが、ある程度深くなると、クラックに沿って周囲のコンクリートをはつるなどの施工も必要となります。爆裂は鉄筋の防水塗装やはつりなど大変な作業となります。

あと大変なのは、「目地」と言われる箇所の修繕です。古い建設物の場合、ゴムみたいな樹脂の目地がありますが、この目地が劣化している場合はジョイント(伸縮性のある金属の合板)に変えることがありますが大変高価です。


【雑記】

土木構造物と違ってマンションといった建設物はコンクリートむき出しではなく表面にブロックといった化粧板をしています。
その分、地震以外の原因によるクラック等は入りにくくなっています。
しかし、この5年の度重なる地震で入っている可能性もあります。

そういったクラックは随時把握し、クラックの深さを推定し、鉄筋に及ぶ危険性のある幅のあるクラックは早めの対処が必要です。